無印の完走直後の感想はこちら。
総じてとってもよかったです。出てくるネタがKanonをプレイしてた世代向けで、若い子はポカーンとしたかもしれませんけどw
個人的には、Another AIRとして見てるとこもあって、AIRの底流にあった受け入れがたい要素を、ラストで綺麗に覆してくれたことへ言葉にできないほど感謝を表したいです
・つまり識よ、ありがとうぅぅ!!(号泣)
・翼人の存在するも知らない観鈴(とそれ以前の少女たち)が理不尽に器にされた末に死を迎え、方術の由来も知らない往人は、法術を片手に翼を持つ少女を探せという人生を背負わされ最後は烏になる。AIRは、遠い未来の誰かの望みが呪いのように作用して今を生きる生命が(結果的に)犠牲になった、というのが私の捉え方。
・サマポケも、正史であるしろはルート(ALKA→Pocket)は、物語の形としては羽未の意思だけど、その結果は自分の生まれてくる可能性の完全否定。俯瞰で見れば『親の呪いを解くために子が犠牲になる構図』と私は思う。
それが識が『むすんだ』ことで、「Sea,You Again」と無印と歌詞が書き換わるほどの劇的なハッピーエンドに生まれ変わった。この違いは本当に大きいし、だからこそ心から推せる。
・出てくる子はみんなぶっ飛んでるけど、登場人物に悪人がいないのもうれしかったですね。
・女の子として好きなのは、僅差で蒼。日常では妄想どピンク娘、なのにお役目だったり各ルートで知識を披露する時のシリアスさのギャップ、そして恋物語としてのルートもよかった。涙腺が何本あっても足りない。
・ただ、 恋愛感情抜きで心を掴まれたのは識。ネタバレになるから書けないけどさ、彼女の物語を作品に加えてくださったスタッフの偉業にはスタンディングオベーションが止まないよ……
・結末の衝撃は紬、構成に唸ったのは鴎、容姿はのみき。もっとも夏を感じさせたのはうみちゃん。静久はこのあと書くけど紬という子の解像度を高める意味ではよかったんだけど、静久自身のことをもっと好きになるルートにしてほしかった。
その上で、以下は設定的にちょっと気になったとこ。
・些末なことだと、識はなんでガスコンロやガラス見て驚かないの? とか。まぁそこは時を超える際に教えてもらったとか、かなぁ。
・あと(Pocketより前は)小鳩が近づけてなかっただろう思い出の残る『食堂』に、しろはが普通に食事に行くようになったのは何時からなのかなぁ、とかも。
・これらと違うレベルで気になったのは、七影蝶の設定。他の要素はメタ的には複数人で書いたから平行世界の出来事ということで、多少のズレがあっても仕方ないかもしれないけどさ、七影蝶は根本ですよね!
・歴史の生き証人である識の言を借りれば、七影蝶は「未練を残して死んだ人の残滓」。これは蒼の見立て『亡霊みたいなもの』とほぼ一致。じゃあ何でまだ生きてる藍の蝶が飛んでるの?
・まぁ藍の場合は「死に瀕するほどの衝撃で抜け出てしまった」んだとしても、のみきルートでは「ふらふらと出てっちゃうこともある」って、そりゃないでしょ! 意思もって会いに行けるんだったらなんで藍の七影蝶は蒼に飛んでこないのよ、ってなりますよね。
・藍は意識がなくて、のみきは意識があるからって説明は、意識のない蒼に寄り付いてきた七影蝶を藍の蝶が意思をもって祓っているから成立しないと思う。
・前述の通り蒼ルートの時は、無防備な蒼を狙って集まってきたり、Pocketsでは幼いしろはを迷い橘にいざなったり、基本的には『生者に害を為すもの』と考えていいと思ってる。藍や瞳さんの七影蝶が助けてくれるのは、魔物だけど人の心が残ってる、みたいな感じで。じゃあのみきは(以下無限ループ)
・まぁ人知を超えたものだから、正しい情報なんて分かんないんだろうけど気になるものは気になる。
・あと特にのみき√の時、ボイスと文章の不一致は気になったですたい。誤字が複数目についたのも。
そして、以下はごく個人的なRBで追加されたルートに対するお気持ち表明。
・無印→RBの順にプレイしたけど個別ルートは識とうみの追加だけでもよかったんじゃないかという消えない気持ち。のみきこと美希と静久のふたりはシナリオがなぁ……おぁ、√プレイ中の哀しみが再燃してきたぞ、あたしゃあの展開は好かん。
・のみきルートは、夢の中とはいえ、悪人のいないはずのサマポケの世界で陰口や罵倒聞かされるのは嫌だよ!! てか、悪夢見たら夢から覚めてもその人と話すとき意識せずにはいられないじゃないですか。のみきも羽依里もふっ切るのに苦労したんじゃないかなと思う……のみきは容姿が一番好きだし、ラストがいいだけに、そこに至る過程はも少しなんとかならなかったのか、っていうモヤモヤ感。
・静久も、母親の暴走がのみきと同じ理由で嫌。それでも静久は母と向き合い優等生である自分から解放されるのが筋だから納得はできる。
こっちで好かないのは猫の神様の設定。とってつけたようでなんだかなぁと思う。こっちこそ、記憶が絡むんだから七影蝶を絡ませた方がよかったんじゃないかなぁ。
・好きな方の追加ルートのお話もすると、うみちゃんは、ぼくらの七日間戦争を大人側から見るとこんな感じかぁっていう立てこもりとか、水泳部で残っていたわだかまり=夏の宿題を綺麗に解消する展開とか、最後の最後、帽子だけが残されこの後の伏線にもなる意味深なラストとか、本当に素敵だし、上手いなと思わせるシナリオでした。
・そして識。本当になんだこのイロモノと思っていたのが、自分で女性としての魅力(胸)はないぜって言ってしまうノリの良さとか、線香花火の蘊蓄とか、過酷な運命とラストシーンとか好きで、そしてこの『夏休み』を真の意味で救った大立役者として素晴らしいキャラクターでした。
・今読み返すと、完全にのみきルートの亡霊だなw
・つまりあれだ、「蒼は好きだけど識は惚れる」ってことでまとめよう。