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民事再生法の適用を申請
これからは「代アニ方式」といわれた実績の
さて、第10話の感想です。
――とうとう、真琴とお別れしてしまいましたね。
肉まんじゃなくて他のにしろといわれて「もっと高いもの買って貰えばよかったのに」なんて名雪の声も忘れてしまうほどに、不吉なまでに箸を震わせて……そしてまもなく倒れてしまう真琴。
医者を呼び、何とか直そうとする祐一に対して、真っ黒な雲がものすごい速さで流れる物見の丘で「お願いだから連れて行かないで」と懇願する真琴。(今回、最初から最後まで鈴の音がキーワードですね。この夜のシーンだけでも、ものみの丘への道案内と、ものみの丘での真琴の位置を指し示す時と……)
そして「これ以上、その子に関わらないでください」と現れる美汐。
原作とはまったく違う展開ですけれども、この尺でけりをつけようとすれば十分アリじゃないかと思います。人の作画崩壊(美汐を除く)はさておき、ものみの丘の不安な雰囲気は……え? 誰が東映版(フジテレビ版)の話をしろといった?
よろしい、では耳の穴かっぽじってよーくお聞きなせえ……。
京アニの渾身の一撃、しかと受け取りました!
第11話への繋ぎを一切放棄し、真琴シナリオを突き詰めた一の太刀、お美事にございます!
いやー、申し訳ない、本当に申し訳ないし不遜な物言いなんですけれども、京アニと東映の戦力差は、メビウス1とただの戦車、原子力空母と遊覧船です。
何の因果か、前作も10話が真琴の回なんですよ。上記のネタのために、比較のために鑑賞したんですが、30秒で己の浅はかさを後悔しましたわ。
今回は「静けさ」が耳に残る回だなと思いました。いや、いつもトラックバックを下さる方々の感想もやけに静かなんですが(汗)そうではなく。
今までの話でも、BGMのないシーンはいくつもあったと思いますが、今回は、ものすごく無音が印象に残ったのですよ。
私たちが生活しているとき、BGMがかかっていることはそう多くないですが、お互いの声以外完全に無音、という状態もそうはないです。いや、生活音がある限り「限りない無音状態」って言うのは、私たちが意図して望まない限り存在しないのかもしれません。
それは例えば、目の前の人たちの声以外は耳に入らなくなった、そんな心境のとき。
美汐が真琴に名前を聞くシーン。
ものみの丘へ雪道を登っていくシーン。
真琴好きではない私ですが「ああ、終わってしまうんだ…」と思わされて、思わずエアコンの運転を切りました。今回の鑑賞、見てるこちら側にもそれだけ静けさが欲しかった。
映像について触れるとすればふたつですね。
一つは祐一の目の動き。アップで映ったときに、細まったり、潤んだり。先に東映版を見たせいもあるせいでしょうか、その細かさに静かに最敬礼です。これに重なる、祐一の声優杉田さんの声(声優の場合も「演技」って言っていいんでしょうかね)もよかったです。泣きそうなのをこらえる人の声。いい声優の必要性って今に始まったことじゃないでしょうが、原作では絶対に出てこない主人公の声だからこそ、余計にそのうまさに感謝したいし、キャスティングした人にもお礼を言いたい。
もう一つは、鈴が落ちるとともに、ものみの丘が雪模様へ戻るシーン。
これこそ映像の力ですよね。『奇跡の時間の終わり』を余計な説明を一切せずに示した形だけとはいえ、もの書きとして、本当に羨望です。
そしてメインディッシュの後のデザートとも言える、アフター部分も充実でした。原作どおりの台詞回しでも、映像にすると全然おばさんくさくなんかないですね、美汐。あの笑顔と声は、とにかく卑怯すぎだと思います。今までのわだかまりを本当に許してしまいたくなるじゃないか!
そしてラストのラスト、エンディングのイントロをアニメの最後にかぶせてくるという、徹底して原作に拘ったやり方。ここまでやるんだったらエンディングも真琴verを流した方がいいんじゃないかってぐらいです。
数週にわたって、真琴シナリオの粋を集めて作られた作品、終わればやはり「お見事」としか言いようがありませんでした。心配なのは今日で今回のKanonは完結!という人がいっぱい生み出されたのではないかということだけです(笑)
これだけ完膚なきまで真琴に心を寄せておいて、来週から何事もなかったようにあゆをからかったり、舞とご飯食べてたら、それはそれは不自然ですもんねぇ。